会長挨拶

猪又会長

第45回心筋生検研究会学術集会(CABIC2023)

会長 猪又 孝元

新潟大学大学院 医歯学総合研究科 循環器内科学 主任教授

 2023年11月17日(金)~18日(土)、新潟市にて第45回心筋生検研究会学術集会(CABIC2023)を開催させていただくことになりました。

 COVID-19の流行は完全な終息には至っておりませんが、少しずつ人の交流が戻り、世界的にはウィズコロナの生活様式が広がりつつあります。この現状を鑑み、今回の学術集会は3年ぶりに現地開催とし、新潟大学旭町キャンパスにて対面での発表と論議の機会として準備を進めています。

 CABIC2023のテーマは、「新潟心筋生検塾-原点から未来を眺む-」といたしました。当研究会では今やわが国の循環器病理領域で最も重要な研究会と位置付けられておりますが、元をたどれば1979年に創られた心筋生検の会に端を発し、いわば車座での手弁当の会精神を受け継いできました。プレパラートを手にし、実際に検鏡し、当事者が権威のある先生方と直接意見を交える、そんな価値観です。一方で、循環器治療の現場は分業が進み、病理部からのレポートを読んで済ませる、そんな風景も日常的になりつつあります。心筋組織を直接に診た経験が皆無の若手循環器医も少なくありません。「塾」などとは横柄な名称に思われるかもしれませんが、ここは原点に立ち返り、現場の先生方に心筋生検と直に触れあい、実感を持って診療や研究へ展開していただきたく、一部に教育的なプログラムも企画することであえて挑戦的なテーマ名を掲げました。

 心筋生検の主たる対象疾患である心不全は、大きな変革の時期を迎えました。そのひとつとして、原因たる疾患を同定し、治療介入する、元を断って結果としての心不全を改善させる、そんな手法が一般化しつつあります。一昔前まで不治の病とされた心筋症にも治療法が現出し、確定診断法としての心筋生検の意義が高まっています。また、先制治療や個別化治療を念頭に、先を読む心不全診療への応用にも期待が高まっています。まさに心筋生検を今一度臨床の立場から見直す絶好の時機と思われます。

 関連の皆さま、さらには次世代を担う医師、研究者の方々には、新潟の会場にぜひとも足を運んでいただき、ハウツーの情報に触れながら、今後の心筋生検をどのように活用、発展させていくかを自由闊達に議論しましょう。2023年11月に新潟の地で、多くの先生方をお目にかかることができるよう鋭意準備を進めていきます。
皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。